金ヶ崎 (万葉の岬)

蔓島  造船とペーロンで有名なこの相生の町は、万葉で「縄(なは)の浦」と詠われた万葉故地である。現在のJR相生駅が、戦前、那波駅と呼ばれていたことを知っている人は少ない。相生の町を通りぬけて、国道250号を湾口に向かって南下する。鰯浜を過ぎたあたりの小さな峠で右折し、急勾配のつづら折れを登り切ったところに、国民宿舎「相生荘」がある。宿舎の前の南斜面は、見晴らしのよい公園になっていてそこかしこにベンチが置かれている。もちろん、万葉歌碑もある。すぐ足元に君島が見える。してみると、右手の湾口をふさぐように浮かんでいるのは蔓島なのだろう。なんでも、身投げをした遊女の髪の毛が流れ着いたところから、「かつらしま」といわれるようになったとか。不思議なことに、『播磨鑑』や『播州名所巡覧図絵』では、君島と蔓島があべこべになっている。「室の浦の 瀬戸の崎なる 鳴島の (3164)」と詠われた鳴島は、どの島なのだろうか。
 急坂を海岸に降りてみる。波打ち際に遊歩道がつけられている。ここからは君島がほんとうに近く見える。この狭い海峡を、万葉の舟人たちは通過したのだろうか。そんなことを思いながら、もとの公園に引き返す。この坂はかなりきついので、坂が苦手な人は絶対に降りないでください。
君島  それにしても、珍しく静かな公園だ。須磨の鉢伏山上も景色のすばらしい公園だが、いつ行っても演歌が聞こえてくる。そういえば、日本では、海水浴場もスキー場のゲレンデも、商店街の中も、音楽のないところは少ない。ここに来てみて、静かなことがどれほどすばらしいことか、だれもが実感するにちがいない。ベンチに腰掛けて、ぼんやりと遠くの家島や小豆島や、遠くに細長く横たわっている淡路島を眺めていると、下のほうから遣新羅使人たちの乗った船から櫓を押す勇ましいかけ声が聞こえてきましたよ。

   【JR 相生駅よりバス・相生荘行き終点下車・バスの便はよくない】
   【相生市営国民宿舎「あいおい荘」・電話07912ー2ー1413】

  3164歌碑、遠くは唐荷島

  1. 「鳴島」の読み方については現在、ナキシマ、ナルシマ、二通りの読みがおこなわれています。  
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